眼科でよく聞く用語集

眼底検査(がんていけんさ)
目の底にある網膜を観察する検査です。網膜とは光を感じる大切な膜で、カメラでいうフイルムにあたるものです。瞳を薬で開かないと(散瞳)全体の観察はできません。ただ薬なしでも重要な視神経の部分や物を見る中心(黄斑部)を観察することはできます。観察には、強い光源を用いますので、少し眩しいと感じますがご了承ください。眼底検査では、医師が網膜の観察を行うことを指します。画像として記録に残すには、さらに眼底写真をとる必要があります。
眼底写真(がんていしゃしん)
眼底検査の情報を写真にすることができます。状況をご自身が見ることができることと、経過記録に客観性が得られます。ただ、症状の変化が多彩な場合を除いて、毎回眼底写真をとることは少ないです。通常の診察では、眼底検査のみで、節目に写真を撮って、記録しておくようにします。
蛍光眼底撮影(けいこうがんていさつえい)
眼底には多くの血管があります。太い血管は眼底検査、眼底写真でも観察可能ですが、毛細血管のような微細な血管は肉眼では見られません。蛍光色素を静脈に注射することで、血管のみの情報を得ることができ、網膜の様々な病気の診断や、病状を判定することが可能となります。糖尿病網膜症、網膜動静脈閉塞症、黄斑変性症などで撮影します。
散瞳(さんどう)
目の中の瞳(ひとみ)を薬で拡げることを言います。通常の瞳の大きさは3~4mmですが、眼底検査、眼底写真、蛍光眼底撮影の際には、7~8mmぐらいの大きさに拡がっている必要があります。白内障の手術の際にも散瞳しておく必要があります。
視力(しりょく)
眼科の検査の最重要項目といっても良いでしょうし、皆さんもよくご存じのことと思います。では、1.0や0.1とは一体どのような基準で決まっているのでしょう?まず、視力は何を表しているかですが、それは、2つの点を2つの点としてわかる最小の視角を言います。2つの点が近づくとどこかで2つの点とはわからなくなるところがあります。その時の2点と目でできる角度(視角)を数値化したものが、1.0とか0.1とかの視力です。1.0の方が2点は近く、0.1の方が2点の間が離れていることになります。通常5メートルの距離で測定しますが、当院では疑似スクリーンを用いた短距離の視力表も使用しております。
視野(しや)
見える範囲のことを言います。眼科では動的量的視野と静的量的視野の2種類を測定することが多いです。動的視野というのは、目印となる指標を周辺部より動かし、見え始めのところをチェックしていきます。この視野は検査員が指標を動かして測定します。検査を受ける方は、まっすぐ正面を見ておいて、まわりから小さな光の指標が見えた時にボタンスイッチを押します。指標の大きさ、光の明るさを変えることで、量的な評価をします。これに対し、静的視野は指標の動きはありませんが、いろいろな場所から無作為に指標が点灯します。動的量的視野と同様、まっすぐ見ておいて周辺の点灯があれば、スイッチを押します。これも光の強さを変えることで、量的な判断ができます。静的量的視野はコンピューターが制御しており、指標の点灯場所や光量を決めるだけではなく、きちんと正面を見ているかどうか、スイッチの押し忘れや、点灯していないのに押すという、検査の信頼性に関するデーターも表示されます。視野は緑内障ばかりではなく、頭蓋内の病気の診断に有用です。
角膜(かくまく)
いわゆる茶目や黒目の前にある。透明な膜のことです。厚さは中央部で0.5mm、透明であるために血管はありません。もっぱら涙や眼球内部の房水という液体で栄養分はまかなわれています。水晶体とともに、目のレンズに相当します。コンタクトレンズはこの上に直接のせています。
結膜(けつまく)
いわゆる白目と言われるところです。実際は、半透明の薄い膜で、白く見えるのは、その奥にある強膜という眼球の壁にあたる部分が白いため、白く見えます。充血したり目ヤニが出たりという結膜炎はこの場所の細菌感染によるものです。
虹彩(こうさい)
いわゆる茶目と言われるところです。カメラでいうところの絞りに相当し、外界の光量の調節を行っています。虹彩の中央に瞳孔(瞳)があります。
水晶体(すいしょうたい)
虹彩の奥にあるレンズの役割をする透明のものです。若い時には、この水晶体が厚くなって、遠くから近くまでの焦点を合わせることができます。
網膜(もうまく)
カメラでいうフイルムにあたるところです。外界の光は角膜、水晶体で集光し、虹彩(瞳孔)でその量を調節し、この網膜に結像することで物が見えます。網膜での情報は、視神経から脳に通じ最終的に物が見えます。
 
視神経(ししんけい)
網膜はカメラのフイルムに相当しますが、その情報を脳に伝えるのが視神経です。網膜内に感じた光を伝達する神経線維があります。その神経線維が眼底の中で集まる所を視神経乳頭と言います。この視神経乳頭から視神経を通じ脳の後頭葉にある視覚中枢に情報が伝達され、はじめて物が見えます。
 
黄斑部(おうはんぶ)
網膜はカメラのフイルムのようなものですが、フイルムと異なるところは、その感度分布がフイルムのように一様でないところです。すなわち、フイルムでは全体に同じように物が写りますが、網膜では非常に感度の高いところと、そうでないところがあります。目では物を見つめるためにこのような感度差があります。感度の非常に高いところを、その部分が他より黄色いことより黄斑部という名前がついています。
新生血管(しんせいけっかん)
体のいたるところに血管がありますが、何らかの原因で血管がつまり、その血流が途絶えると、その血管が担当している体の細胞や組織は、血液がいかないために、栄養不足、酸素不足に陥ります。すると、細胞はこの酸素不足に反応し、血流を増やすために、新しい血管を作成するための信号を出します。すると生来の血管とは異なる新生血管が作成されます。一見、理にかなっている生体反応に思えますが、実はこの新生血管は非常に厄介な存在になります。新生血管は生来の血管と異なり、非常にもろく、血管壁も粗造で、その走行も秩序なく生えていきます。そのために、軽い事象では、血液中の水分が新生血管の外に漏れ、まわりがむくみます。目では、網膜の浮腫となります。ひどくなると、大量の出血につながり、目の中全てが血液でうめられることもあります。さらに、秩序なく血管が生えてくることで、目では眼圧を調節している部分にこの新生血管が生えるため眼圧が上昇し緑内障となることがあります。新生血管は、一端生えたら非常に厄介ですのでその原因となる血流障害に対する処置をおこない新生血管が生じないように予防することが重要です。

 

眼科でよく聞く病名集

近視(きんし)
遠くを見た状態で、外の映像が網膜の前で焦点を結ぶ状態を言います。目のなかの水晶体が薄くなるのには限界がありますので、負のレンズ(凹レンズ)の眼鏡が必要になります。
遠視(えんし)
遠くを見た状態で、外の映像が網膜の後ろで焦点を結ぶ状態を言います。目の中の水晶体が厚くなるのには限界がありますので、正のレンズ(凸レンズ)の眼鏡が必要になります。ただし、軽い遠視の場合は、この水晶体が厚くなる力で、網膜面に焦点を合わせることができます。若いころよく見えていたが、中高年となって、老眼だけでなく遠くも見にくくなったという方にこの遠視が隠れていることがあります。この軽い遠視は常に水晶体を厚くする力を使っていますので、疲れ目(眼精疲労)の原因となります。
老視(ろうし)
いわゆる、老眼のことです。通常、近くのものを見るときは、網膜に焦点を合わせるために、目の中の水晶体が厚くなる必要があります。しかし、加齢により水晶体の弾力がなくなり硬くなることや、水晶体を厚くするために働いている筋肉の筋力の低下によって、水晶体が厚くなれない状態となります。そのため、遠くがくっきり見える眼鏡やコンタクトレンズを使用した状況や何もない状況で遠くがくっきり見える方では、手元がぼやけて見えるようになります。この老視は、遠視、近視に関係なく、40歳代から始まり、徐々に悪化し、60歳ではこの焦点をあわせる力はほとんどなくなってしまします。近業用の眼鏡、いわゆる老眼鏡をかける必要があります。老化を曝したくないという理由から、40代の方はなかなか老眼鏡をかけようとされない方がいらっしゃいますが、遠近両用の境目のない眼鏡(累進焦点)をかけるには、60歳になってからでは、遠方の焦点の部分と近方の焦点の差が大きく、いきなり装用することが困難となります。メガネレンズの下方の部位が近方用であるため、足元を見る際の、特に階段の上がり降りなどに、非常に見にくくなります。40歳の老視の軽い状況から徐々に慣らしていくと違和感なくこの累進焦点の遠近両用眼鏡をかけることができます。
はやり目(はやりめ)
結膜炎の中でも、その原因がウイルス性で、非常にうつりやすいものです。充血が強く、目ヤニよりも痛みで涙がでます。ウイルスを退治する特効薬はありませんので、充血を取り、混合感染に対する処置としての薬を点眼します。うつりやすいので、学校は登校停止となります。大人でも、接客業のように人と接することが多い方はお休みされることをお勧めします。接触感染ですので、よく手を洗い、タオルなどは家族とは別にして、家族への伝染を防ぐようにします。
角膜潰瘍(かくまくかいよう)
異物が目に入るなどを原因として、角膜に細菌が感染すると角膜が掘れていきます。非常に痛く、かつ涙も増えます。かすみがかかったように見え、視力も低下します。適切な治療をしないと、最終的には角膜に穴が開き細菌が目の中で増殖し失明に至ることがあります。
白内障(はくないしょう)
水晶体が混濁する状態をいいます。原因の中で最も多いのが加齢です。その他の原因が明らかなものとして、糖尿病、アトピー性皮膚炎、薬剤性などがあります。症状はかすみやまぶしさで、進行すると視力低下をきたします。近年は白内障に対する手術が発達し、術後の見え方の質が非常に良くなりました。また、麻酔も痛くなく、早期に社会復帰ができるようになりました。当院ではその利点をとり、日帰りで手術を行っています。手術は濁った水晶体を小さい傷口から取り出し、代わりに眼内レンズを挿入します。保険で行う場合はこの眼内レンズはピントが合うところは一点ですが、最近遠くも近くもピントの合う多焦点眼内レンズが登場しました。ただ、この多焦点レンズは保険診療ができません。
緑内障(りょくないしょう)
目の中では、房水というお水が栄養分を運んでいますが、この房水は目の硬さを調節しています。眼圧がこれにあたりますが、正常では20mmHgまでです。しかし、この眼圧が上昇し、視神経が圧力で障害され、視野欠損をきたす病気が緑内障です。発作を起こすタイプと慢性的に経過するタイプがあります。発作を起こすタイプは、目の作りが発作を起こしやすい構造となっています。急に目が痛んだり、充血を起こすほか、頭痛や嘔気嘔吐をきたすことがあります。この発作には早急に手術を行い、発作を回避しないと一晩で失明することも珍しくありません。これに対し、慢性的に経過するタイプは正常より少し眼圧が高い、あるいは正常範囲内(正常眼圧緑内障)であっても、視神経が慢性的に障害され視野が徐々に狭くなっていきます。視野狭窄はなかなか自身ではわからないので、視野検査が必要です。治療は近年眼圧を下げる効果的な薬が登場していますが、薬物治療に反応しない場合は手術が必要です。
斜視(しゃし)
何かを見たとき、両方の目がしっかりとその見つめているところを見ているのが正常ですが、どちらかの目が違うところを見ている状態を言います。乳幼児では、視力の発達時期ですので、よそを向いている方の目の視力が発達しません。また、両方の目がきちんと同じところを見ることで生まれる立体感覚(3D)が斜視の場合感じ取れなくなります。内向く場合が内斜視、外が外斜視です。遠視が原因になっている場合は眼鏡で斜視の治療が可能なことがあります。眼鏡で困難な場合、手術をする必要がありますが、手術が終了すれば、治療が終了するわけではなく、視力を発達させたり、立体感覚を呼び覚ますための訓練をする必要があります。
網膜剥離(もうまくはくり)
網膜に穴があき、網膜がはがれる状態を言います。穴が開く理由は良く解っていませんが、早く剝離した網膜を元の位置に戻さないと、視力などの機能も元には戻りません。手術以外に剥がれた網膜を元に戻す方法はありません。穴の位置や剝離の状況で、手術は、眼球の外からアプローチする方法と、中からの場合があります。中からの場合、白内障がなくとも水晶体を摘出せざるを得ないことや術後特殊なガスを目の中に入れて、剥がれた網膜を元に戻すため、ガスが穴に当たるようにうつ伏せをする必要があります。
糖尿病性網膜症(とうにょうびょうせいもうまくしょう)
糖尿病の3大合併症の一つで、網膜の小出血から始まり、新生血管の出現、眼球内の大量出血、網膜剝離または続発緑内障で失明という経過をたどる病気です。治療の原則は、糖尿病の良好なコントロールです。網膜症の治療は、新生血管が出ないようにするために、レーザー光線という特殊な光で網膜を焼くことが有効な治療法です。レーザーが効かなかったり、放置していたために目の中で新生血管や出血、網膜剝離をきたした場合は硝子体手術が必要となる。手術療法が発達したとはいえ、視力回復はかなり厳しいです。
黄斑変性症(おうはんへんせいしょう)
黄斑とは、網膜の中でも、最も感度の高い部分を言います。この部位が黄色であることから、この名前がつきました。網膜の下で、新生血管ができることで、黄斑部がむくんだり、出血したりして、視力低下をきたす病気が黄斑変性症です。加齢によるものが近年増えてきました。治療は、薬物の眼球に注射、光線力学的療法、レーザーなどがありますが、基本的に視力はなかなか回復しません。現状維持ができれは良しというのが医療の限界です。早期発見、早期治療が必要不可欠な病気です。自覚症状は、変視症といって、物が歪んで見えたり、小視症といって、中央部の物が小さく見えます。